むかしむかし、竹を取ってくらしている、おじいさんがいました。 |
ある日のこと、いつものようにおじいさんが竹やぶに行くと、金色に光っているふしぎな竹を |
見つけました。 |
ふしぎに思ったおじいさんは、その竹を切ってみることにしました。 |
その竹を切ってみると、なんと中に、かわいらしい小さな女の子がいたのです。 |
おじいさんは、その女の子をだいじに家につれて帰りました。 |
子どものいないおじいさんとおばあさんは、とてもよろこびました。 |
そして、その子を" かぐや姫" と名付けて、大切に育てたのです。 |
かぐや姫は成長するにしたがって、たいそう美しくなりました。 |
美しいかぐや姫のうわさは、すぐに国じゅうに知れわたり、 |
『どうか、かぐや姫をお嫁さんにください』 |
という、若者がたくさんやってきました。 |
かぐや姫はすべて結婚のもうしこみをことわっていました。 |
かぐや姫はお嫁に行くつもりはありません。 |
しかし、結婚をもうしこむお金持ちや、えらいお侍はあとをたちません。 |
そこでかぐや姫は、困ってしまい、 |
『では、私が言う品物を持ってきて下さった方のところへ、お嫁に行きましょう』 |
と言って、世にも珍しいと言われる品物を一人一人に頼みました。 |
それは、”光る実のなる金色の木”、”「金の毛皮”、”竜の目玉のくびかざり”、 |
”光を放つおうぎ”・・・・・・とういような、どれもむりな注文です。 |
男たちはそれぞれに大冒険をしましたが、かぐや姫の望んだ品物を手に入れたものは、 |
一人もいませんでした。 |
なんとか結婚を申し込む男たちを追い返したかぐや姫ですが、かぐや姫のうわさは、 |
とうとうお殿様の耳にも入りました。 |
『ぜひ、かぐや姫を嫁に欲しい』お殿様はそう願いました。 |
おじいさんとおばあさんは、 |
『すばらしい事じゃ、これ以上のおむこさんはない』と、大喜びです。 |
かぐや姫は、なんとかことわろうと思いましたが、お殿様に逆らえば、 |
殺されてしまうかもしれません。 |
それ以来、かぐや姫は毎晩毎晩、悲しそうに月を見上げては泣いていました。 |
『かぐや姫や、どうして月を見てそんなに悲しむのじゃ。』 |
かぐや姫は泣きながら言いました。 |
『じつは、わたくしは月の都のものです、大人になると月の都にもどらなくては |
ならないのです、こんどの満月の夜には、月へ帰らなくてはなりません』 |
それを知ったお殿様は、満月の夜、おおぜいの兵隊でかぐや姫の家の周りを守らせました。 |
何とかして、かぐや姫を引きとめようとしたのです。 |
けれど、真夜中になり満月がかがやき始めると、兵隊たちはまぶしいばかりの月の光に |
てらされ、目がくらみ、石のように動けなくなりました。 |
やがて月の光の中から天女と天馬がまいおりて来ました。 |
かぐや姫は、月の使いの馬車にのって、月に帰ってしまいました。 |
おじいさんも、おばあさんもお殿様も、たいそう悲しんだと言うことです。 |
おしまい |